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  • 小学校から「AI教育」導入、台湾政府のサバイバル戦略

    2019.06.08

    台湾政府は、世界的なハイテク競争で生き残りを図るためAI人材の育成を強化している。台湾は長年、電子機器の受託生産を強みとしてきたが、最近では海外企業の多くがより安価な中国に製造をシフトしている。

     

    一方でこの1〜2年でグーグルやマイクロソフト、エヌビディアなどの大手IT企業が、AI分野で台湾への投資を拡大している。台湾はハードウェアの受託生産から脱却し、世界的なAIの研究開発拠点へと変貌を遂げようとしている。

     

    台湾政府は、海外からの投資を拡大させるため、AI人材の育成に力を注いでいる。蘇貞昌行政院長は、AIの研究開発に従事する人材を毎年1万人育成することを目指している。台湾は過去数十年に渡り、大学でエンジニア育成に取り組んできており、AI人材の育成への転換は自然な成り行きだと言える。

     

    テック業界のアナリストによると、シリコンバレーのIT企業は、台湾政府のこうした取り組みを魅力に感じ、現地に拠点を設けているのだという。

     

    蘇貞昌行政院長は、5月16日に発表した声明で、「この2年弱で、台湾はAI分野で革新的な進化を遂げ、世界中が注目するようになった。海外のIT大手が台湾に設置したAI拠点は台湾の競争力だけでなく、国民の生活の質も高める」と述べた。

     

    台湾は、AI教育を小学校や中学校から開始しようとしている。今年から公立学校にAIの教材が導入されたほか、政府が共同スポンサーとなっているAIのオンライン授業には、1000人が申し込んだという。

     

    在台湾米国商工会議所の会頭を務めるWilliam Foremanによると、米IT企業は、台湾人エンジニアの質や業務への忠誠心、信頼性を高く評価しており、アジアの他の地域よりも台湾をAIプロジェクトの拠点として選んでいるという。

     

    台湾は1980年代からエンジニアを育成してパソコンなどハードウェア製品の受託生産を手掛けてきた。現地メディアの記事によると、ハードウェアからAIにシフトしたことで、新卒エンジニアの平均初任給は、1084ドルに増えたという。

     

    それでも、台湾ではAI人材が不足しているという。「台湾では、これまでもコンピュータ・サイエンス分野の人材に対する需要が非常に高かった。今後、多くの企業がAIを導入するに当たり、人材不足はますます深刻化するだろう」とForemanは話す。

     

     

    グーグルは台湾の従業員を2倍に

     

    モントリオールに本拠を置くソフトウェア企業「Element AI」の創業者兼CEOであるJ.F. Gagneによると、世界中でAIの新規プロジェクトを担うことができるエンジニアの数は、2万2000人に過ぎないという。

     

    2018年の初めに、グーグルとIBM、マイクロソフトは台湾における研究開発を拡大し、3社合わせて600名を新たに雇用すると発表した。グーグルは今年3月、中国語版の公式ブログ上で、台北郊外にオフィスパークを建設し、従業員数を現状の2万人から倍増させてAIの取り組みを強化することを明らかにした。

     

    半導体大手のクアルコムも、サプライチェーンの中核となる製造拠点を台湾に建設し、研究開発も行うことを発表した。また、エヌビディアも、約1年前に台湾の科学技術省とAI開発でパートナーシップを締結している。

     

    調査会社IDCの台北支社長を務めるHelen Chiangは、台湾にとってハードウェアエンジニアからAIエンジニアの育成にシフトすることは重要だと指摘する。

     

    今後、AIを搭載するスマートフォンやパソコンが増え、AI人材に対する需要がますます拡大することが予想される。「台湾では、大学などで既に多くのAIプロジェクトが進行しており、政府はAI分野の専門家を増やしたいと考えている。AI人材は少しずつ増えてきているが、リソースを強化することは重要な課題だ」とChiangは語った。

     

     

    原文:Forbes Japan(2019/06/08) https://forbesjapan.com/articles/detail/27666/1/1/1

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